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2013年02月16日

ヒント(95) 営業効率を高めるには

ある経営者からのご質問
 当社の営業担当者の動きを見ていると、見積書や提案書の作成に時間を掛け、何度も客先を訪問している割には受注率が低く、どうも効率が悪いように感じます。もっと営業効率を高めるにはどうすればよいでしょうか。

回答 
 営業効率が悪い原因を一言で言えば、営業担当者の力量が低く、動き方に無駄があるからです。ただ、改善にはいくつかの切り口があります。


見切りが重要 

 通常、営業担当者は商談相手を「見込客」としてリスト化しています。問題は、見込客の質です。見込客が多くても、購入意欲が乏しい相手ばかりだと受注率は低くなります。

 毎月の売上目標に追われる営業担当者は、少しでも契約の可能性がある相手には、何らかのアプローチを掛けておこうと考えます。そして、商談相手が多いと「取りあえずは安心」と思ってしまう傾向があります。

 しかし、もともと購入意欲の乏しい見込客は、どれだけ頑張っても契約に結び付く事は少ないです。

 営業担当者の人件費は決して安くはありません。それは、一日あたりの人件費を計算すれば分かります。

 だからこそ、営業担当者は購入意欲の高い見込客との商談に集中すべきであり、購入意欲の乏しい見込客に時間を割くべきではありません。

 要するに、見切りが重要です。


集客に力を入れる 

 そう言うと、「もともと購入意欲の高い見込客は少ない」という反論が出てくるかも知れません。しかし、それなら見込客をもっと集客すればよいのです。

 御社では、営業担当者の人件費に対して、どれ位の広告宣伝費を掛けているでしょうか。そのバランスが悪いから、質の高い見込客が集まらず、営業担当者が購入意欲の低い見込客に「仕方なく」アプローチしているのではないでしょうか。

 ちなみに、集客と営業では必要なスキルが異なる為、営業担当者が必ずしも集客が得意とは限りません。会社全体の問題として、適任者を集客担当に任命して下さい。


提案書に頼らない 

 提案書は、作成に時間が掛かりますので、「出すからには契約できて当然」というスタンスで臨むべきです。

 営業効率を高めるには、初回面談でクロージングを掛け、口頭レベルで仮契約の承諾を得る事が大切です。

 「初回面談はヒアリングに留め、一旦持ち帰って提案書を作成し、2回目の面談でプレゼンする」という方法は、時間効率が悪いだけではありません。

 こちらの提案を待つ間に、相手側の熱意が冷めたり、競合他社が提案する余地を与えたりします。

 重要なのは、初回面談の場で相手側の課題やニーズを見抜き、その場で提案し、見積金額まで提示し、承諾を得る所まで持って行く事です。

 その為には、最初から決定権者に会う事です。また、面談前に見込客の下調べもしておくべきです。全くの無情報で会うのは下手な営業です。

 そして、提案や見積もりに必要な情報は、頭に叩き込むか、資料として持参するか、会社のサーバにアクセスできるようにしておくべきです。

 提案書というペーパーで相手の心が動く事はあまりありません。先に口頭提案で相手の心を動かしたうえで、改めて提案書を出して念押しするのです。


営業スキルを高める 

 営業担当者の力量としては、商品知識と傾聴力の2つが重要です。

 受注率が低いのは、営業担当者の商品知識が貧弱で一般論的な提案しかできないからかも知れません。

 また、顧客からの質問に対して何でも即答できるかどうかで信頼度はかなり異なります。

 そして、見込客の課題やニーズを見抜くには、相手にどんな質問を投げかけ、何を聞き出すかです。また、相手の発言の意図を理解し、更に突っ込んだ会話に繋げる事が大切です。

 顧客は説得されたいのではありません。相談に乗って欲しいのです。


那覇商工会議所・商工ニュース2013年2月号掲載



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Posted by ikai at 19:19│Comments(1)Q&A
この記事へのコメント
「購入意欲の高い見込み客」参考になります。高いかどうかの切り分けは、相手方からの問い合わせ等、相手方がどれくらい提案先の人・事業・賞品に興味を持っているかでしょうか?
 そしてその判断は、経験に裏打ちされたものなるのでしょうか?
Posted by 金城仁史 at 2013年03月06日 09:20
 
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