てぃーだブログ › 中小企業診断士 井海宏通の「経営のヒント」 › ヒント(138) 労働生産性を高めるには(3)

2016年09月16日

ヒント(138) 労働生産性を高めるには(3)

 労働生産性、すなわち「従業員一人あたりの利益」を高めるには、時間を効果的かつ効率的に使う必要があります。

 効果と効率は意味が異なります。効果は「目的に適った結果」を指し、効率は「掛けた労力に対する仕事のはかどり具合」を指します。

 両者を混同してはいけません。


時間を効果的に使う 

 効果と効率とでは、効果の方が重要です。なぜなら、全ての仕事(業務)には、目的が有るからです。

 その仕事に意味が有るか無いかは目的次第で、目的が無い仕事や目的を満たせない仕事は無意味、つまり無駄という事になります。

 企業は、顧客の期待と満足から利益を得ます。その為には、良い商品やサービスを生み出し、顧客に提供しなければなりません。それが仕事の目的になります。

 しかし、目の前の業務が会社の利益に直結するとは限りません。

 「良い商品」と言っても、「顧客にとっての良さ」で無ければ売れません。売れても低価格です。顧客が求めていない商品やサービスに原価や時間を掛けても報われない努力です。

 要するに、客層と商品コンセプトがマッチしてないと、仕事が効果的にならないのです。

 また、顧客満足が利益を生むとも限りません。会社の強みと客層が合ってないと、他社との競争で苦労します。苦労するという事は、時間(人件費)を消耗するという事です。

 自社の得意分野でなく苦手分野でわざわざ勝負するのも無駄な努力です。

 そして、自社の強み、客層、商品コンセプトが揃っていても、一つ一つの作業に目的が無ければなりません。つまり、惰性でやっている仕事はやめなければなりません。

 例えば、意味のない会議、誰も見ない資料作成、自己満足的な商品開発などです。

 効率性は有効性(効果の有る事)が満たされて初めて意味をなします。


時間を効率的に使う 

 効率を高めるには、いくつか必要な要素があります。

 まずは、技能です。

 最低限の技術、知識、経験が無ければ仕事の効率が悪いのは御存じだと思います。問題は、従業員の技能を高める企業努力を他社以上に実施しているのか、という事です。

 新人教育はどの会社でも実施します。では、新人以外はどうでしょうか。技能が中途半端だったりしないでしょうか。

 次はインフラです。

 経営資源は「ヒト・モノ・カネ」であって「ヒト・カネ」ではありません。つまり、ヒトだけでは仕事はできません。ヒトがモノを使って仕事をするのです。

 業務を効率的に行うには、設備や備品などを揃え、業務の自動化や高速化を計らねばなりません。設備投資が必要です。

 そして、ITの活用は避けて通れません。情報システムの弱い会社は概して効率が悪いです。

 効率的な業務には、インフラ(基盤)が必要です。

 三つ目は分業体制です。

 従業員の役割分担は適材適所でなければなりません。仕事は、本人の得意分野に特化し、苦手業務は別の人が担う方が効率的です。

 また、分業した作業を一つの仕事としてうまく統合できるかどうかが重要です。マネジメントや業務フローがポイントとなります。

 あとは標準化です。

 全く同じ仕事は無いとは言え、仕事を一つ一つの作業(部品)に分解すると似ています。

 作業手順を標準化して「慣れ」でスピードを速めつつ、作業の組み合わせによって多様なニーズに応えていくのが賢い方法です。


那覇商工会議所会報誌 2016年9月号掲載



Posted by ikai at 13:27│Comments(0)
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。