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2016年06月18日

ヒント(135) 営業力を強化するには(15)

 売上高は商品力と販売力の掛け算で決まります。そして、商品力と販売力とでは、商品力が先に来ます。

 商品力が弱いままで売上高を伸ばすのは、かなり苦戦します。顧客が欲しがる商品やサービスであって初めて、それを顧客に宣伝し提案する販売力が活かされます。

 今回は、商品力という視点で営業力の強化を見ていきます。


商品力は商品だけで決まらない 

 顧客が皆欲しがり、かつ他社では扱えない商品が有れば、売上高を増やすのは簡単です。

 しかし、そんな商品が有れば、そもそも営業担当者は要りません。誰もが飛びつくオンリーワン商品は中々作れないのが実情でしょう(勿論、それを目指す事は大切です)。

 むしろ、ハードルが低いのは、顧客に合わせた「特注商品」や「きめ細かなサービス」など、対応力での勝負です。

 顧客が抱える課題を正確に把握し、それを解決する商品やサービスを提案する、いわゆる提案営業の分野です。

 商品力を「顧客の欲求を満たしたり課題を解決したりする力」と定義すると、商品(モノ)だけでは狭く、対応力も含めて考える必要があると分かられると思います。

 そして、対応力の部分で営業担当者の力量が問われます。


社内調整力が重要 

 顧客と接するのは主に営業部門ですが、対応力を生みだすのは非営業部門(生産、作業、設計、施工など)です。

 つまり、営業担当者が顧客からの特別な要望に応えるには、非営業部門の協力が不可欠ですが、ここでの調整がうまく行かないケースが多々あります。

 顧客から要望には、例えば、特殊商品、取寄せ、小ロット多頻度納品、短納期生産、アフターサービスなどがあります。営業担当者としては当然、積極提案したい内容です。

 しかし、これらの要望に対応しようとすると、非営業部門に負担が掛かります。要するに「非効率」なのです。また、「高コスト」です。そして、嫌がられます。

 ここを何とかしない限り、対応力を高める事ができません。

 営業担当者は、自社の(つまりは非営業部門の)業務をよく知り、社内人脈を強化し、きめ細かな顧客対応の為に調整力を発揮しなければならないのです。


会社としての仕組みづくりを  

 以上は営業担当者の話です。ここからは組織の話です。

 先ほど述べた通り、会社として対応力を高めるには、非営業部門の負担感を解決しかければなりません。

 それにはまず、営業部門と非営業部門の話し合いの場を多く設ける事が必要です。

 会話が足りないと、互いの立場を配慮する事ができず、社内対立が起きやすくなります。協議の場を多く持つ事で、営業部門と非営業部門との間で、現実的な方法を見出しやすくなります。

 また、互いの計画を共有する事も必要です。

 非営業部門は販売計画を知っておかねばなりません。また、営業部門は、非営業部門の生産計画または作業計画を知るべきです。

 相手の予定を知っておくことで、社内調整がしやすくなります。


社内の業務レベルを上げる  

 顧客にきめ細かく対応しようとすれば、どうしても作業負担が生じ、ミスも起きやすくなります。

 しかし、だからこそ、他社が簡単には真似できない仕組み作りのチャンスでもあります。

 業務レベルを上げ、高度な要求に応えられるようになれば、顧客の囲い込みは難しくありません。問題点を地道に潰していく努力が、会社としての販売力向上に繋がります。


那覇商工会議所会報誌 2016年6月号掲載



Posted by ikai at 10:25│Comments(0)
 
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